負荷電流を0~300mAまで変化したときの出力電圧を測定したもので、入力のAC電圧も90V、100V、110Vの3通りでデータをとっています。, この試料のACアダプタは「AC100V、出力200mA時に定格電圧の9V」になるようです。 まずは入力側です。商用交流は電力供給ラインであるとともに、雷サージや他の電気・電子機器からの高周波ノイズやパルス性ノイズなど、さまざまな伝導ノイズの入口になっています。そこで、こうしたノイズの侵入を阻止するため、入力側には電源用EMCフィルタ(ラインフィルタ)が接続されます。電源用EMCフィルタは機器内部で発生して外部に流出するバックノイズ(帰還ノイズ)を抑制する役割も果たします。, 電源ラインや信号ラインを流れる伝導ノイズには、“ディファレンシャルモード”と“コモンモード”という2タイプの伝導モードがあります。ディファレンシャルモードノイズは、2本の導線を往路・復路として伝わるノイズです(ディファレンシャルとは電流方向が互いに異なるという意味)。電源電流や信号電流はディファレンシャルモードです。このためノーマルモードとも呼ばれます 安定性、ノイズ特性は内蔵回路次第なので1.に対策を施した方が勝ることもある。 ちなみに、筆者の手元にあるラジオとヘッドホンアンプの電源に非安定化ACアダプタを用い、問題無く動作しています。 比較の意味で縦軸の電圧範囲を同じにして観測していますが、波形11で用いたスイッチングACアダプタでも電圧範囲の感度を上げると、スイッチングノイズは観測できます。 Copyright(c) 2020 TDK Corporation. ディファレンシャルモードノイズはインダクタ(L)とコンデンサ(C)を組み合わせたLCフィルタで低減できますが、コモンモードノイズには効果がありません。そこで、電源機器の入力部にはコモンモードフィルタとコンデンサを組み合わせた電源用EMCフィルタが必須となります。コモンモードフィルタは環状のフェライトコアやアモルファスコアに2本の導線を同じ方向に巻いたもの。コモンモードノイズ電流は同方向に流れるため、コア内部に発生する磁束も同方向となり、大きなインピーダンスを示してノイズの侵入を阻止します。また、コモンモードフィルタの両側のコンデンサ(Xコンデンサという)は、ディファレンシャルモードノイズを低減、出力側のコンデンサ(Yコンデンサという)はコモンモードノイズをグランドに流して低減します。 機器組み込みタイプやインレットソケットタイプなど、TDKでは用途に応じた多数の電源用EMCフィルタをラインナップしています。, 電源機器本体にも、さまざまなEMC対策が講じられています。AC-DCスイッチング電源では、交流を整流・平滑してもなお、交流の“名残”ともいうべき、うねりのような電圧変動を残しています。また、直流電圧を変換するDC-DCコンバータ部では、この電圧変動に高周波のスイッチングノイズが重畳します。さらに2次側の転流ダイオードからもスパイクノイズと呼ばれる急峻なノイズが発生して重畳します。バッテリの直流を利用する機器では、交流周期のうねりはありませんが、やはりDC-DCコンバータ部で高周波のスイッチングノイズやスパイクノイズが発生します。こうしたノイズを低減するために、コンデンサ(C)と抵抗(R)とによるCRスナバ回路が、トランジスタや転流ダイオードに並列に挿入されます。 TDK logo is a trademark or registered trademark of TDK Corporation. 最近のデジタルオシロスコープではFFT演算機能の付いた機種が多いですが、今回の観測は専用機(FFTアナライザ)で行っています。 グラフ2に安定化タイプ(定格9.5V/1A)の実測特性例を示します。 図5のように非安定化ACアダプタ出力を3端子レギュレータにより電圧を安定化させ、さらにリップルの低減を行なおうというものです。 (図1の場合は整流素子にダイオードを用いた「ブリッジ」回路) AC100Vをトランスにて変圧し、これをダイオードにより整流します。これを平滑回路により直流(DC)に変換しますが、この場合、充電、放電の波形が残り、この成分(波)を「リップル」と言います。 リップルは負荷側(機器)にて容量の大きいケミコンを接続すれば低減(改善)させることは可能です。 つまり、スイッチング周波数が数10KHz~数100KHzですから、この周波数成分と数10倍までの周波数成分により影響を受ける場合があります。 EMC対策には、(1)反射(LCフィルタなどでノイズ成分の伝導を阻止)(2)吸収(フェライトコア、チップビーズなどでノイズを吸収して熱に変換)(3)バイパス(コンデンサやバリスタなどでノイズをグランドに流し去る)(4)シールド(放射ノイズを金属ケースでグランドに流したり、フェライトなどの電波吸収材で吸収して除去する)という4つの手法があります。 きれいですが、若干、ノイズの底が非安定化と比べて上がっています。 スイッチング方式acアダプタ;波形8: 約35khzのスイッチング成分とその2倍の高調波が観測されます。 スイッチング電源はEMC対策の基礎や応用を知るうえで格好の機器です。というのも、スイッチング電源は他のシステムからの伝導ノイズの入口であるとともに、負荷側(IC回路など)にノイズを送り出す出口となっているからです。また、スイッチング電源は自らがノイズ発生源にもなっています。このノイズは“伝導ノイズ”とし電源ライン上に流れるだけでなく、“放射ノイズ(有害電磁波)”となって、自らや他の電子機器に悪影響を及ぼします。EMC対策なしにスイッチング電源は使い物にならないといって過言ではありません。 šã‹ã‚‰ä¾µå…¥ã™ã‚‹ä¼å°ŽãƒŽã‚¤ã‚º, ライン-アース間(L1-E、L2-E)を伝わる⇒コモンモード(Common mode), ① ノーマルモードチョークコイル, ③ コモンモードチョークコイル. 下のチャンネルはその成分を拡大したもので、この例では100Hzの成分です。 例えば、「歪んだ波形」は基本成分(周波数)以外の高調波成分が存在し、図3のようにオシロスコープではどのような高調波成分があるかは分かりません。FFTによる解析では横軸が周波数になり、これにより周波数成分を観測することができます。