国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドラン」とは、平成 11年に旧建設省が初版を発行し、改訂版が 16年2月に、再改訂版が平成 23年 8月に国土交通省から発表された、原状回復の「指標」です。, クリーニング特約とは、「借主が退去時のクリーニング代を負担する」旨の契約内容です。, 賃借人(借主)が通常の清掃(具体的には、ゴミの撤去、掃き清掃、拭き清掃、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去等)を実施している場合は、, 「通常の清掃を行っていない場合、クリーニング代は借主の負担になる」ということです。, 「借主に通常損耗についての原状回復義務を負わせるには、借主に予期しない特別の負担を課すことになるから、借主に同義務が認められるためには、一定の要件を満たす必要がある」と判断することで借主を保護しています。, 敷金返還、原状回復に関するご相談・ご依頼に関するお問い合わせはこちらから お気軽にお問い合わせください. ©Copyright2020 敷金返還.com.All Rights Reserved. 敷金返還.comは、敷金返還・原状回復費用の減額請求に関する内容証明郵便の作成代行を中心業務とする『NEXT行政書士事務所』が運営しています。, 退去時に「クリーニング代」を請求された経験がある方は多いのではないでしょうか?しかし、「そもそも、クリーニング代は借主の負担なのか?」と疑問に思いますよね。, 本記事は、『賃貸物件のクリーニング代は借主の負担?原則と例外を解説』を詳しくご紹介します。, クリーニング代は貸主の負担が原則です。裁判所の判例は、「建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上の使用をした場合に生じる通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、賃料の中に含まれている」としているからです。, たとえば、ホテルの宿泊費にはチェックアウト時のクリーニング代が含まれており、クリーニング代を別途支払うことはありません。賃貸物件の場合も同様に、賃料(家賃)には退去時のクリーニング代が含まれているということです。, 国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下、「ガイドライン」)でも、クリーニング代は貸主の負担が原則であることを明確に示しています。, 賃借人(借主)が通常の清掃(具体的には、ゴミの撤去、掃き清掃、拭き清掃、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去等)を実施している場合は、次の入居者確保のためのものであり、賃貸人負担(貸主負担)とすることが妥当と考えられる。, 前述のとおり、クリーニング代は貸主負担が原則です。しかし、借主がクリーニング代を負担する例外も存在します。, 借主がクリーニング代を負担する例外1は、「借主が通常の清掃を実施していない場合」です。, 前述のガイドラインでも、「借主が通常の清掃を行っている場合、クリーニング代は貸主の負担になる」としています。逆を言えば「通常の清掃を行っていない場合、クリーニング代は借主の負担になる」ということです。, 借主がクリーニング代を負担する例外2は、「クリーニング特約が有効に成立している場合」です。, ここまで本記事を読んでいただいた方は、「クリーニング費用は貸主の負担が原則なのに、借主の負担にするのは不公平だ」と感じる方も多いでしょう。事実、クリーニング特約は借主に不利な契約内容だからです。, しかし一方で日本の法律には「契約自由の原則」が存在します。契約自由の原則とは、人が社会生活を営むに際し結ぶ契約は、公の秩序や強行法規に反しない限り、当事者が自由に締結できるという民法上の基本原則のことです。, 契約自由の原則が意味することは、「原状回復の原則より契約内容が優先される」ということです。, 契約自由の原則によって「原状回復の原則より契約内容が優先される」とご紹介しました。しかし、契約自由の原則とは、当事者が対等な立場であることを念頭にした原則です。, 裁判所は「賃貸借契約の当事者は対等な立場ではない」と判断しています。「貸主は強者」「借主は弱者」と判断しているということです。, 具体的には、「借主に通常損耗についての原状回復義務を負わせるには、借主に予期しない特別の負担を課すことになるから、借主に同義務が認められるためには、一定の要件を満たす必要がある」と判断することで借主を保護しています。, 「要件を満たす契約・要件を満たさない契約」の具体例は、弊所別記事「【敷金返還】知っておきたい特約(原状回復・クリーニング特約)とは」でご紹介しています。参考にしてみてください。, 本記事は、「賃貸物件のクリーニング代は借主の負担?原則と例外を解説」を詳しくご紹介しました。これで退去時のクリーニング代の負担で悩むことはありません, 年間1,000件以上の相談実績!! 「法律」「国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』」「判例」の内容に沿った、適正と考えられる原状回復費用を無料で査定させていただきます。, 敷金返還.comを運営しております「NEXT行政書士事務所」代表の永井 恒司(ながい こうじ)と申します。, 敷金返還・原状回復費用の減額請求に関する内容証明郵便の作成は、ぜひ弊所にお任せください!!, 敷金返還comは、敷金返還に関する内容証明郵便作成代行に特化した「NEXT行政書士事務所」が運営しております。. 8年間居住していた賃貸住宅を退去する際に、賃貸住宅の仲介業者のハウ●コム株式会社の提携業者である合同会社SA●●R●Iより、以下の退去費用の請求を受けました。, 8年間も住んだ家なので、多少の汚れや劣化は貸主負担となることが法律上定められているはずでは?と質問したのですが、「経年劣化として判断できる部分とできない部分がある」の一点張りでまともに取り合ってもらえませんでした。, また、「クロス張り替え」と「クッションフロア張り替え」を30%負担とした根拠は何か?国土交通省が国として定めているガイドライン(後述)と照らし合わせると30%でも借主に負担する額が高すぎると主張したところ、戸惑った様子だけ見せられ、まともな回答をしてはもらえませんでした。, なお、「フローリング剥離」についてですが、私が入居していた時点で、床にだいぶ大きな傷がついていたことは共に認識済みで、その床の家に私を8年も住まわせておいて、なぜ今更私がフローリング剥離一式の修繕費用を負担しなければならないのかも甚だ疑問でした。, 仕方がないので、その場で支払いの承諾はせずに、後日正式に請求書を送付してもらい、その後に、法律家に相談するなどしてから正式な対応を取る、とお伝えしてその日は切り上げました。, ちなみに、電球が切れていた場合でも、退去する借主に新しく電球を購入する費用を負担させると言っていました。私の場合は電球はすべて切れていなかったのですが、消耗品についてまで借主の負担にさせるというのは大きな違和感を感じました。, 友人に相談したところ、友人の場合は退去時に不動産業者が、修繕費用が必要でも賃貸住宅居住者保険の範囲で対応可能だったということを教えてくれ、敷金は満額返済してもらえたとのことだったので、自分の保険内容を確認することにしました。, ハウ●コムの場合はそんなことは一切教えてくれず、それどころか退去を伝えた際にすぐに保険から解約するようにとだけ伝えられただけだったので、業者によってその辺の対応にはばらつきがあるようです。, 私が加入していた保険は、三井住友海上火災保険株式会社の「賃貸住宅居住者総合保険リビングFIT」というものでした。ハウ●コムに指示を受けた通り、退去時に速やかに保険解約の手続きを行っていたため、取り合ってもらえるか不安でしたが、電話で問い合わせを行ったところ非常に丁寧に以下の回答をくださいました。, 私の場合だと、保険の契約内容上、保険を使っても結局自己負担分が高くなってしまうため、他の方法がないかを模索しました。, そもそも、8年も住んだのに本当にこれをすべて借主側が負担する必要があるのか?という点が非常に疑問であったため、インターネットにて調査をしたところ、このようなトラブルを防ぐために国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というものを公開していることを知りました。, このガイドラインによると、設備などは設置からの経過年数とともに、借主が負担する金額の割合は減っていくはずである旨が明記されています。私の場合は、入居時点で築10年近くの年数が経過しており、そこからさらに8年居住しているので、今回の請求金額はあまりにも不当であることが法律的にも認められそうなことがわかりました。, 後日、敷金見積もりを実施した業者より、退去費用の見直しの連絡到着しました。以下については支払わなくてよくなったとのこと。, 一気に半額程度に値下げされました。請求された際に、法律を確認してしかるべき措置をとるという旨を主張したおかげだと思われます。何もしていなかったら全額支払っていたかと思うと恐ろしいです。, しかし、フローリング剥離と鏡研磨除去だけがなぜ残っているのかが不鮮明に感じました。最初に請求されている金額から比べると安価になったように思えますが、もしかしたらそう思わせて支払わせる作戦なのかもしれません。正直これ以上関わるのも面倒臭いので、ここで落とし所をつけようかと思いましたが、こんな風に消費者側が泣き寝入りを続けることが、世の中の悪徳業者を頭に乗らせてしまっているのかもしれない...そう考え、できる限りの対応をとることにしました。, 以下のページの雛形を参考に、敷金返還請求の書類を作成しました。https://best-legal.jp/refund-deposit-495, 敷金請求にあたっては、ルームクリーニングについても通常借主の負担義務はないらしいですが、今回は契約時にルームクリーニングについては退去時に負担することで合意していたため、それ以外の「フローリング剥離」と「鏡研磨除去」についての支払い義務が生じないとする旨の返還請求書を作成しました。, 上記の書類を作成した上で、内容証明郵便を大家さん本人に送付しました。(私の場合は、毎月の家賃を大家さん本人に直接払っていたので大家さん本人に送付しましたが、管理会社に支払っていた場合は、管理会社に送付すべきと思います。), 内容証明郵便を送付するためには、郵便局の窓口に行き、「内容証明郵便を送りたい」と伝えるという方法もありますが、私は平日の日中は仕事をしているため、このためだけに郵便局の窓口にいくことは馬鹿馬鹿しいので、日本郵政のe内容証明というサービスを利用しました。https://e-naiyo.post.japanpost.jp/enaiyo_kaiin/enaiyo/enkn110/engm111.xhtml, 大家さんより直接電話で連絡がありました。大家さんとしては、仲介業者に任せていたため、平和的に解決できていたと思っていたが、ルームクリーニング以外の費用は大家さん負担でよいと思っているとのことでした。, 色々と手間がかかってしまいましたが、元々仲介業者に言われるがままの金額を支払っていたとする場合、10万円以上損をすることになってしまっていたと思うと恐ろしいです。, 大家さんからは、「せっかく8年住んでいただいたので、最後にこういう形で争いになってしまうと、今まで廊下などで顔を合わせて挨拶をした思い出などが全部悪いものになってしまう。だから、お互い良い思い出にするためにも仲良く終わらせましょう。これからもお互い、それぞれの場所でがんばりましょう。今までありがとうございました。」という暖かい言葉を頂きました。, 大家さんから最後に暖かい言葉を言われ、自分のせいでこういう形でのお別れになってしまったことが悲しかったです。しかし、泣き寝入りして損をしておけばよかったとはどうしても思えません。, 私の場合は、内容証明郵便を送付した時点で、問題は解決しましたが、もしもこれでも貸主側から応じてもらえない場合には、少額訴訟というものを実行する方法があるそうです。, 少額訴訟とは、60万円以下の金銭の請求の際に起こせる訴訟で、原則1回で判決が出るそうです。一人でも簡単に安価で利用することができ、敷金回収相場は満額の8~10割であるとのこと。, 手続き方法は以下のページが参考になります。https://best-legal.jp/refund-deposit-495, 賃貸契約を解約する際、業者次第では、法外な金額を請求されるケースがあります。泣き寝入りするのは一見楽ですが、そういった諦めが、悪質な請求を野放しにしてしまっているということもまた、事実だと思います。, 我々人間にとって、住む家というのはとても重要なもので、だからこそ、退去する際には、良い思い出としてその家を後にしたいものです。, 退去費用を過度に請求されるというのは、そういう思い出にまで泥を塗る許しがたい行為だと私は思います。, このnoteが、同じように困っている誰かの助けになれば幸いです。そして、日本の賃貸業界全体が、良い方向へと向かいますように。, 思いのほかバズったので宣伝します。普段は犬笛日記というブログを書いています。https://www.inubue.com/, 読む人をだいぶ選びますが、初心者におすすめの記事は以下です。ご興味あったらこちらもよろしくお願いします。https://www.inubue.com/entry/2018/08/28/193249, カンマの位置のズレと、消費税率の表記ミス、修正しました。ご指摘ありがとうございました。, 私も今年退去で同様の事があり、もめました。同じように国土交通省のガイドラインも行ってきました。無料の弁護士相談もしました。弁護士からは管理側が借主側に納得説明をする義務があるとのことで、納得いかなければ払わなくて良い。放置で良いと言われました。結局、こちらの要求通りに減額されましたが、ホントに多額な請求がくると参ってしまいますよね。, 綺麗に使っていても物を落とせば傷が付きますし、長く居ればシミも付きますよね。トラブルへの対応として勉強になりました。ありがとうございました。, https://e-naiyo.post.japanpost.jp/enaiyo_kaiin/enaiyo/enkn110/engm111.xhtml, https://www.inubue.com/entry/2018/08/28/193249.