ショスタコーヴィチは、ソビエト連邦(今の「ロシア」)の作曲家で、当時の共産党と渡り合った骨のある人です。, 作った曲が原因で、党の指導者や責任者に目を付けられ、死の危険と隣り合わせになりながら、必死で生き抜いたイメージがあります。, ロシア出身のクラシック音楽の作曲家と言うと、チャイコフスキーやラフマニノフ、ハチャトゥリアンが挙げられます。, 親しみやすい曲が少ないとか、女性人気が低いと言われるショスタコーヴィチの曲ですが、ダイナミックで格好いい曲やジャズなどの現代音楽に通じる響きがあり、とても面白いです。, ある雑誌でショスタコーヴィチの交響曲のスコア(オーケストラの譜面)売上ランキングを開催したということです。, 全体的に暗い雰囲気の曲が人気がなく、ダイナミックで躍動感がある曲が人気となっていると考えられます。, 初めてショスタコーヴィチの交響曲を聴くという方であれば、上位にランキングされる人気曲を聴くのがおすすめです。, 第14番や第13番辺りから聴いた方は雰囲気が暗すぎて、もう聞くのがイヤ!となってしまうかもしれません。, 一説によると、レコード会社の方が曲を聴いたイメージで付けたのではないかと言われています。, だから、他国出身の方の前で「革命が好きです!」と言っても、「え?」と分かってもらえないことが多いので注意してください。, ただ、第4楽章のティンパニと金管楽器の力強い音でインパクトがあり、最終的に膨れ上がっていって熱狂的に進む様子を聴くと、「革命」と名付けられてもいいのかもしれません。, ショスタコーヴィチ自身も、それまでの前衛的な曲が国の体制に合わず、反逆者と見なされて国家機関から批判を受けていました。, 大規模な政治弾圧により、友人や親類などの身近な人が捕まったり、処刑されたりと大変な状況の中に置かれていたのです。, プレッシャーの中で作られた曲が、ロシア革命20周年に演奏し、国内外で絶賛されました。批判的な国の指導者からも揺るぎない評価を得ることになったのです。, この曲には、ビゼーが作曲したオペラ「カルメン」の曲が所々にちりばめられています。不倫相手が罪をなすりつけられて国外に亡命し、カルメンという男性と結婚したからとも言われていますが、何故使われたかはっきりとは分かりません。, その他にも、暗示的に体制批判が行われていると言われています。肝心のショスタコーヴィチがナゾを明かしていないので、様々な曲の解釈がなされています。, 戦争三部作の最初の曲で、第二次世界大戦中にドイツに包囲されたレニングラードをテーマに作られました。, また、ショスタコーヴィチが「レーニンに捧げる」と発言したために、レニングラードという通称が付きました。, ナチスに対する批判が強いことから、ソビエトに共鳴する共産圏の国だけでなく、それ以外の体制の国内にも人気がありました。, しかし、ソビエト連邦側が国の体制を維持するための宣伝に使ったため、大戦後の冷戦終了後は共産圏以外の国から批判され、非常に評価が下がったのです。, しかし、ショスタコーヴィチの非公式な発言によると、曲を通じて「ナチスだけでなくソビエトの全体主義を表現した」と本人が言っていたと言われています。, 「ショスタコーヴィチの証言」という書物では、レニングラードという土地が「スターリンに破壊されて、ヒトラーにとどめを刺された」と語っていたということから、ソビエト連邦に批判的だったと解釈されています。, このような言葉により、様々な国の人から評価されるようになり、全世界で曲の良さを見直す動きが出てきました。, 日本国内では1990年にアリナミンVのCMソングで、第1楽章の戦争の主題が使われたことから、「ちちんぷいぷいの歌」と親しまれCD化もされています。, ショスタコーヴィチの交響曲の中では、比較的明るい雰囲気です。楽しい感じがする曲調で、ショスタコーヴィチの交響曲に初めて触れる方にもってこいの曲です。, 最終楽章でユダヤ民族の音楽が含まれていることから、第2次世界大戦後のナチスによる解放を表しているのではと言われています。, この曲は大戦に勝利した記念に作られていることから、国の政府関係者からはベートーベンの「第九」のように壮大で重厚な音楽を期待されていました。, 多くの民衆からは支持されて人気がありましたが、第7番で高評価を得たソビエト連邦の共産党側からは大変に憎まれて、いわれのないひどい批判を受けることになったのです。, 一連の動きを党書記の名前を取って、ジダーノフ批判と言われ、ショスタコーヴィチに対して特に痛烈に行われました。以降は国に迎合するための作曲家活動を余儀なくされたのです。, しかし、迎合するふりをして、曲の中に様々な仕掛けをして批判の目をかいくぐっていると見られています。, 耳の肥えたクラシック愛好者からは、交響曲の全15曲のうち最高傑作と評されています。非難された第9番からは、発表までに8年の時間を要しています。, スターリンの亡くなった直後に発表されたことから、既に出来ていたが、国から批判されてきたので、最高権力者が亡くなるのを待ってから発表したのではとも考えられます。, 曲の音のつながり方に特徴があり、DSCH音型と呼ばれていて、ショスタコーヴィチの名前の綴りを元にアイディアが閃いたのではと言うことです。, 教え子には、戦争3部作の真の最後の作品は9番でなく10番だという手紙を遺しています。, リストの「ファウスト交響曲」とメロディーが似ている所があることから、ファウストをショスタコーヴィチ自身、ファウストを誘惑した悪魔メフィストフェレスをスターリンになぞらえて表現したのではという見方もあります。, 第3楽章では、教え子の女性の名前のイニシャルから取った音の繋がりの型を用いていることから、ただ単に取り入れただけなのか、他に何かの意味があるのではないかと研究する人もいます。, この曲は、宮殿の前でデモを行っていた一般市民を発砲して危害を加えた事件で、これを契機に民衆の心が当時の皇帝ニコライ2世から離れ、ロシア革命へと動いていったと言われています。, こちらは非常に評価が分かれ、ソビエト連邦側の体制維持への宣伝音楽として使われたという意見と、歴史に残る事件を忠実に表したと考える人もいます。, ソビエト連邦が崩壊してからは、評価をする声が高くなり、見直す人が多くなっています。, 第2楽章で、攻撃を加える場面は、それまでの軽快な音楽とがらっと変わる所にすごみを感じます。, 一般市民が軽い気持ちでデモに参加する様子から、中盤から終盤にかけて小太鼓のリズムを契機に、砲撃の音が展開されていきます。リアルに響いてきて恐ろしいです。, 第4楽章は勇ましい曲調で、このような市民を攻撃する事件を起こし、皇帝の体制が終わりを迎えると、警鐘を鳴らしているのを表現してます。, そのロシア帝国崩壊を暗示する、最後のチューブラーベルの音が重く響いて格好いいと評する方もいます。(チューブラーベルとは、のど自慢番組でお馴染みの歌の善し悪しを判定する時に鳴らす鐘のことです。), ショスタコーヴィチ自身は、ロシア革命をあがめる気持ちは全くなく、指導者の独裁からソビエト連邦の崩壊を予想していて、第11番を作曲したのではとも言われています。, ショスタコーヴィチの名盤と言われる物の中でも、レニングラード・フィルの常任指揮者ムラヴィンスキー指揮の交響曲が評判が高いです。, 実際にショスタコーヴィチと親交があり、第8番はムラヴィンスキーに献呈されたほどです。, 古い録音のためCD化された時にノイズを消してしまったことから、非常にのっぺりとした印象になってしまったという声も聞かれます。また、初めてショスタコーヴィチの交響曲を聴く人には、クセがあって難しいという声もあります。, ショスタコーヴィチの弟子で、自分で資金を集めてケルンWDR交響楽団を指揮して全集の録音を完成させました。, 父と共にレニングラード・フィルの指揮者を務めたマリス・ヤンソンス指揮のショスタコーヴィチのCDも名盤とされ、おすすめです。, 両者とも他の指揮者と比べ、派手さがなく、淡々とし過ぎるという批判もありますが、誇張がなく冷静に音を表現していて好印象と言う人も多いです。, 世界の名だたる指揮者がショスタコーヴィチの交響曲を演奏していますが、ロシアと関係の深い指揮者によるCDが名盤と評価されていることが多いです。, クラシックと言うと、盛装してかしこまって聞かないといけないというイメージを持つ方もいます。でも、今聞いている現代音楽だって、時が流れればクラシック音楽になります。, CDやストリーミング配信を自宅で気軽に聞くなら、自分が良いと思ったのを試し聞きするように楽しんでいいんです。, ファンには「ショスタコ」と親しまれるショスタコーヴィチ、難解な曲も多いし、あまり聞いたことがない作曲家だしと思われるかもしれませんが、CMやドラマの中で使われていることも多いです。, ぜひ、CDの制作・販売会社からYouTubeで配信されていることもあるので、ぜひ聞いてみて楽しんでみてください。, -雑記 -ショスタコーヴィチ 交響曲, ショスタコーヴィチ 交響曲 人気, ショスタコーヴィチ 名盤, 好きな色や嫌いな色は何色ですか? 特にそういった色は無いという方もおられるかもしれません。 ですが、多くの人は1つや2つはあるのではないでしょうか。 私にも好きな色・嫌いな色(苦手な色)はあります。 …, 「肌は手をかけてあげれば、あげるだけ綺麗になるよ」エステに行った時に言われたことのある一言。これは本当なのでしょうか?確かに、スキンケアをしている方の方が多いです。 しかし、本当に肌にいいことばかりな …, 会社で飲み会は、参加したくないときもありますよね。そのときは、断る必要があるのですが、断るときは適切な方法で断ることが大切です。 中途半端な理由を言ってしまうと、思わぬ結果を招いてしまうかもしれません …, 努力した受験勉強を終えて、やっとつかんだ新生活。 春からの新生活を迎える友達へお祝いを込めたプレゼントを贈ってみませんか? 中学校から受験という家庭もあると思いますが、小学校と比べて学ぶ内容や、部活動 …, 毛穴についての悩みが多い年代は30代以降の年齢を重ねた方たちです。しかし、毛穴というのは誰にもあることから、高校生という若い年代でも悩んでいる方は多くいます。 というのも、毛穴が気になる方には、すべて …. でも冬は雪に閉ざされてしまう。, 鳥取県境港市は、水木しげるの出身地。  おかげさまで、ますます、この4番、多面的に好きになりました。 素晴らしいコンサートホール「キタラ」もある。 ポピュラーでスタンダードな作品を選ぶ。「裏」名曲のようなものは選ばない。, 却下。交響曲作品が多すぎて選べない。100曲以上ある。ハイドンは別途、ハイドンの交響曲ランキング10などをやる必要がある(これは聴き通すのが大変だ)。, モーツァルトの交響曲はどれも美しく、人によって好みも分かれるだろう。私も36番「リンツ」、38番「プラハ」をこよなく愛しているが、傑作と言うことで40番を選んだ。, 第九と迷ったが、「合唱」入りはマーラーを入れたので、非常に緊密な構成で書かれている第五「運命」を選んだ。, これは文句なしだろう。「変態」度満点の交響曲だ。しかもそれがマニアックに芸術的に昇華している点がすごい。史上最初に現れた変態的な交響曲にして交響曲史上の傑作だ。, 8番「ザ・グレート」も素晴らしい作品なので、これにはやや異論があるかもしれない。だが「未完成」は「未完成」であるがゆえに美しい曲。ベストイレブンに未完の大器が眠っていると考えるとワクワクする。, ブルックナーの交響曲は3番以降の作品はどれを入れても良かったが、一番長い8番を入れた。体格のよさはそれだけで武器だ。, ハンス・フォン・ビューローがブラームスの最初の交響曲を評して「ベートーヴェンの第10交響曲だ」といったのは有名なエピソード。マニアックにコツコツと仕上げられた作品。努力型の完成形。, 私はチャイコフスキーでは5番のほうがずっと好きだが、5番のようなタイプの曲は何曲か入れたのでポピュラーな「悲愴」を選んだ。, 私は7番、8番の方がずっと好きだが、ベストイレブンと言うことであれば、客を呼べる「新世界」だろう。, ベルリオーズが変態なら、マーラーは魑魅魍魎だ。ぶよぶよしていておそろしくてありがたいものに暗闇で出会ったような感じだ。不気味さ。迫力。内容。マーラーらしさ満点なのに、感動して涙する傑作。, シベリウスらしさという点では、4番以降だが、ポピュラーなのは2番だ。それでも、このメンバーの中では地味に見える。しかし地味さを買うファンも多い。玄人好みの名曲。, ショスタコーヴィチは5番しかありえない。ショスタコーヴィチは苦手だが、5番ならなんとか聴けると言う人も多いのではないだろうか。切れ味の鋭いナイフのような作品。, (↓面白かったらブログランキングに応援よろしくお願いします。) ショスタコーヴィチの交響曲の好きな番号ランキングでも1位 → お願いランキング 好きで、もう20年ぐらい聴きこんできたけれど・・・だがしかし、いつも思う、さて、いま聴いた音楽はいったいなんだったんだろう、と。 横浜みなとみらいホールで無人オーケストラコンサートを開催?! 理由は、その当時のシェフだった放送局のオケが演奏する事になれば、ソビエト全土に放送を通じて曲そのものが知られてしまう事になるから... 一人の作曲家につき一作品とする。 ショスタコーヴィチ交響曲ベスト8!! ショスタコーヴィチの交響曲にも、長く惹かれ続けている。とある解説によると、ショスタコーヴィチはモーツァルト型の「天才」であり、一度聴いた音楽をすぐに暗譜してピアノで弾けたらしい。