2016/02/26 als(筋萎縮性側索硬化症)の最新情報(コミュニケーション障害)を紹介。als患者さんの今あるコミュニケーションの機能をできるだけ維持する方法、コミュニケーションが障害されたときのサポートなどについて解説します。 発症は中年以降で、 70歳代が発症のピーク となります。 発症からの進行が比較的急速であるため 発症後平均3~5年で死に至ります 。 看護師 看護用語 千葉県 脳神経外科, 筋力が徐々に低下していく完治の難しい疾患、ALS(筋萎縮性側索硬化症)。ALSを患う方は生活面において、さまざまな障害を持ち、さらに筋力低下に伴う合併症(二次的疾患)の可能性もあるため、多角的な視点から看護を実施する必要があります。, 以下にALSの概要に加え、看護ケアの方法についてご紹介しますので、ALS患者の看護を行う看護師や今後受け持つ予定の看護学生は、しっかりとお読みいただき、参考にしていただければと思います。, ALSとは「筋萎縮性側索硬化症」のことで、運動を司る神経(運動ニューロン)に障害が及び、手足・喉・舌などの筋肉が徐々に痩せていく難病です。, 原因は未だ完全に解明されていませんが、神経系の老化や遺伝子の異常などが原因であるという見方が強く、徐々に原因が明らかになってきています。, また、ALSの根治治療は存在しておらず、症状の緩和や進行の遅延を主として治療を行っていくため、発症から死亡までの期間は概ね2~5年で、多くは呼吸不全で死亡します。, よって、ALSを患う患者に対する看護師のケアは、QOLを向上させることが第一であり、献身的な“寄り添う看護”が非常に重要となります。, ALSを患う患者は手足・喉・舌などの筋力低下により、「運動障害」「嚥下・呼吸障害」「コミュニケーション障害」を発症します。また、精神的苦痛や合併症の併発、生活活動範囲の縮小など、さまざまな問題がでてきます。さらに、患者家族にも多くの問題が出てきます。, これら障害や問題に対するニードを充足させること、つまりQOLを向上させることが看護師の役割であり、患者・家族に対して多角的な視点からケアを実施することが求められます。, 手足の筋力の低下や麻痺に伴う運動障害の症状改善は難しく、現状ではリハビリテーションによる症状進行の遅延や装具による運動補助などを実施するほかありません。特にリハビリテーションにおいては、時として脱臼や靭帯損傷などの危険があるため、患者の筋力量や筋肉の可動域を正しく見極めた上で、患者のペースに合わせた無理のない援助が不可欠です。, 嚥下・呼吸障害は生死に関わるものであり、障害が深刻化するとQOLを著しく疎外します。嚥下障害が深刻化し十分な栄養摂取が不能となればPEG(経皮内視鏡的胃瘻増設術)の導入の検討、呼吸障害が深刻化すれば人工呼吸器の装着や気管切開を検討しなければなりません。よって、事前なインフォームドコンセプトが何より重要になります。, 嚥下・呼吸障害ともに筋力の低下により症状が進行していくため、胸郭可動訓練・吸気筋訓練などのリハビリテーションも有効ですが、加重負荷を考慮し、患者の同意のもと無理なく実施してください。, コミュニケーションに障害が及び意思伝達手段がないと孤独感やさまざまな葛藤が起こり、QOLは著しく低下します。コミュニケーション障害の発症は嚥下・呼吸障害に随伴し、障害が深刻化すると言語でのコミュニケーションが困難となるため、機能が残存している早い段階でコンピュータなどを用いた言語療法(コミュニケーション手段)を開始することが重要です。ただし決して無理強いはせず、可能な範囲で、またやる気の範囲でゆっくり進めてください。, 症状の進行に伴い、また死に近づくにつれて患者の精神的苦痛は増大していきます。多くは看護師―患者間で信頼関係が築かれれば患者はより安心でき、精神的苦痛が軽減します。コミュニケーションを通して都度、献身的な姿勢で接するとともに、ニードを最大限に充足できるよう援助を行ってください。, ALSの合併症は、滲出性中耳炎、流涎過多、肺炎・無気肺、腸管麻痺、眩暈、浮腫・褥瘡などの他、痛み・かゆみ・めまい・不眠などの症状が発現することがあります。これら全てを確実に予防することが困難ですが、特に皮膚トラブル(浮腫・褥瘡・かゆみ)は負荷圧力の分散により予防できる、または進行を遅らせることができます。1つ1つ起こりうる合併症を確認し、発症の危険性が高いものを優先的に予防・緩和に努めてください。, 寝室・浴室・台所など移動や活動に際して不便とならない環境を工夫することも大切です。特に自立歩行ができるなど生活活動範囲が広い早期においては、安心・安全・安楽に活動できる環境の整備に努めてください。これを行うためには、まず患者の生活活動範囲や筋力量・筋肉の可動範囲、転倒・転落など危険性の有無をしっかりアセスメントすることが不可欠です。, 患者だけが身体的・精神的に負担を感じているのではなく、患者家族も同様です。また、患者家族は身体的・精神的負担に加え、社会的負担(財政面など)も大きくのしかかります。患者家族の心理や社会的背景を十分把握した上で、患者家族の負担軽減に努め、社会資源の情報提供・ケア方法・療養環境などについて十分な指導を行ってください。, ALSを患う患者の看護問題ならびに看護計画は、症状や症状の進行度、身体的・精神的・社会的負担の程度により多岐に渡ります。, 概ね、身体の問題(運動障害・嚥下・呼吸障害・コミュニケーション障害)、精神の問題(不安・死への葛藤)、生活上の問題、適切な看護・診療の提供の問題、家族の生活保障の問題などがあります。, まずは現状において抱える患者の看護上の問題(看護問題)や家族の問題を抽出し、短期・長期の両方の目標を適切に設定することが非常に大切です。, ALSは根治治療が存在しない難病であるため、QOLを向上させることが最も重要な看護ケアです。, 症状の程度や進行度、負担因子、ニードなどを正しく見極め、献身的な看護を通して患者・家族双方のQOLの向上を図ってください。, 東京都出身、千葉県在住。高校卒業後、一般企業に就職。父が脳梗塞で倒れたのをキッカケに、脳血管障害を有する人の治療に携わりたいと思うようになり、看護師の道を志す。看護学校へ入学、看護師国家試験に合格の後、千葉県内の市立病院(脳神経外科)に就職。父の介護が必要になったことで5年の勤務を経て離職。現在は介護の傍ら、ライターとして活動中。同時に、介護の在り方や技術などにおける勉強も行っている。, 昨今、医療現場においてクリティカルシンキングという言葉が多用されるようになりました。クリティ, 看護学生の生活は非常に内容が濃く、多くの卒業者が学生時代における経験は有益であったと言ってい, マタニティーブルーズとは 現在、als療養者とのコミュニケーション方法について、将来を予測したコ ミュニケーション方法を獲得することが必要であるとしている(山本奈津 美,2011,山本菜摘,2014)だけで、具体的な支援方法の示唆 … 筋萎縮性側索硬化症はalsとも呼ばれる疾患で、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの進行性変性や消失により、症状を来す 神経の系統的変性疾患 です。. ナースのヒント|明日のヒントが見つかるWebメディア , 公開日: 前は口頭でのコミュニケーションが可能であり 発話明瞭度は1.5(1.よくわかると2.時々わ 切な時期に紹介,導入していくことが重要であ る. 代替手段の特性の分析 als患者のコミュニケーション障害介入で は代替手段を用いることが多い.我々が複数の 2016 All Rights Reserved. ALSとは「筋萎縮性側索硬化症」のことで、運動を司る神経(運動ニューロン)に障害が及び、手足・喉・舌などの筋肉が徐々に痩せていく難病です。 原因は未だ完全に解明されていませんが、神経系の老化や遺伝子の異常などが原因であるという見方が強く、徐々に原因が明らかになってきています。 また、ALSの根治治療は存在しておらず、症状の緩和や進行の遅延を主として治療を行っていくため、発症から死亡までの期間は … マタニティーブルーズとは、出産直後から2〜3日の間に現れ数時間から数, VAP(人工呼吸関連肺炎)の看護|原因や予防バンドル、ガイドライン、6つの看護ポイント. : 最終更新日:2017/12/09 図5 夜間用の二択ボード 5. Copyright© 考察 als 患者様のコミュニケーション障害の特徴とし て、構音障害により発語が不明瞭になり聞きとれない、 身体機能の低下により筆談や文字盤の使用が困難にな る、嚥下障害や呼吸困難により気管切開後、発語不能 ©Copyright2020 はたらきナース.All Rights Reserved. 神経内科でよくみられる疾患である筋萎縮性側索硬化症は、他科で働いていても既往歴として筋萎縮性側索硬化症を抱えている患者を見る機会があるかと思います。, ここでは筋萎縮性側索硬化症の看護についてご紹介します。神経内科の方だけでなく、他の診療科で働いている方にも是非参考にしてもらえればと思います。, 筋萎縮性側索硬化症はALSとも呼ばれる疾患で、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの進行性変性や消失により、症状を来す神経の系統的変性疾患です。, 発症は中年以降で、70歳代が発症のピークとなります。発症からの進行が比較的急速であるため発症後平均3~5年で死に至ります。, 発症率は人口10万人に1人の割合で、男性の方が女性より2:1の割合で多くなります。原因は不明とされています。, 症状は手内筋や前腕の筋委縮から始まることが多いです。しかし、構音・嚥下障害が初発症状である場合もあります。症状は、変性された運動ニューロンによって症状は異なります。, また、認知機能の低下は気づかれにくいことが多いのですが、心理検査では前頭葉機能の障害が見られることもあることから、近年では前頭側頭葉型認知症との関連が明らかになってきています。, 上位運動ニューロン障害による症状は、筋力低下・痙性歩行・足クローヌス・深部反射更新・病的反射陽性・強制泣きや強制笑いなどの偽球麻痺兆候が見られます。, 下位運動ニューロン障害による症状は、筋委縮と筋力の低下・舌の萎縮・構音障害・嚥下障害・呼吸筋麻痺による低換気が症状として見られます。, 筋萎縮性側索硬化症は進行性の病変であるため、症状の進行を遅らせ、生命予後を伸ばすというのが治療方法となります。, 現在、治療は研究中であり、筋萎縮性側索硬化症の治療薬はリルゾール(リルテック)とよばれるグルタミン酸拮抗薬が唯一のものとなります。それ以外は、症状によって起こっている合併症に対しての治療をしていくこととなります。, 例えば、不安や抑うつが強い場合は気分安定剤や抗うつ薬の使用、関節拘縮が進まないようにリハビリテーションの取り入れ、食事摂取困難となった場合は経鼻経管栄養や経静脈栄養の他に胃ろうの増設などを行います。, また、呼吸障害に対しては、鼻マスクによる非侵襲的な呼吸補助、気管切開による侵襲的な人工呼吸器管理を治療として取り入れていくことになります。, 筋萎縮性側索硬化症は進行性病変で、終末期へ移行していきます。そのため、終末期においては緩和ケア的なアプローチを行うほか、患者や家族の意向を尊重した治療を選択していくことが必要となります。, 筋委縮性側索硬化症の患者の看護は、状態に合わせた看護を行うことが必要となります。患者に対して注意しておきたい症状は以下の通りです。, 構音障害によるコミュニケーション障害は日常生活に支障をきたし、嚥下障害を起こしていれば食事摂取不良による食事量の低下、誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こす可能性があります。, また、肋間筋の筋力低下が起これば呼吸障害を起こしてしまい、CO2ナルコーシスを引き起こしてしまいます。また、筋力低下による転倒も起こす可能性があります。, 筋萎縮性側索硬化症では、この病名による症状というよりも、病気によって起こった症状が引き起こす合併症に対して注意をすることが必要となります。特に生命へも直結する嚥下障害と呼吸障害の症状に対しては注意して見ておく必要があります。, ここでは、他科でも入院する可能性がある緊縮性側索硬化症がやや進行し、人工呼吸器や経管栄養などの栄養法に移行する前の患者の状態で看護計画を立てていきます。, まず、看護問題として、最も生命へのリスクがある呼吸障害により死に至る可能性があります。この問題に対しての看護計画は以下の通りです。, 嚥下障害により、症状が進行すると徐々に食事が摂取できなくなることから症状の進行により食事摂取ができなくなる可能性があがります。この問題に対しての看護計画は以下の通りです。, TPの「嚥下の状態に応じて、食形態をきざみ食やとろみ食にするなどの考慮をする」理由は、発症初期では液状のものよりも固形のものや半固形のものが嚥下をしやすく、乾いたものや粘稠度の高いものでは嚥下がしにくいといった理由です。極力さけなければなりません。, 筋萎縮性側索硬化症の症状による合併症となりますが、症状の進行により転倒を起こす可能性があります。, 特に、まだ自力で動けるうちは、動けるうちに何としてもできることはやりたいという思いが強いため、看護師の付き添い指示などがあっても自力で動いてしまい、転倒してしまうリスクが高くなります。, 経験上、この傾向はどちらかというと若くして発症した患者や女性患者に多く、トイレに行きたくなった時に多い傾向にあります。, EPの「偽球麻痺について家族に説明」については、強制泣きや強制笑いが感情と必ずしも一致していないことを説明し、理解を得る。また、家族にもゆっくりと話を聞くよう説明してください。, 筋萎縮性側索硬化症の患者は症状が進行するにつれて身体はどんどん動きにくくなり言葉も発せなくなりますが、それでも認知機能は正常である場合が多いです。そのため、自分の将来を悲観してうつ状態に陥る患者も多いです。, 看護師は、患者の精神的ストレスを少しでも緩和してあげるために精神的な援助をしなければなりません。実際に行った看護で効果的であった例をご紹介します。, 嚥下障害でとろみ食を食べるのがやっとの患者でも、患者の思いに沿って食事の形状を変えることや、元々の形状でおいしくいただける食事を提供してみることで積極的に食事を摂るようになることがあります。, 食事量が低下した患者でも、たまには嗜好品を食べてもらう工夫をすることで現状が良くなることがあります。, 食に対しての意識やこだわりが強い患者の場合は、こちらがよかれと思って食事の形態をきざみやとろみにしても、それによって味が変化することや食事の見た目が悪くなってしまうので、食べなくなってしまう場合があります。, 身体が動きにくくなると常に臥床状態となり、天井を見るのみの生活となってしまいます。そのため、患者が少しでも楽しめる環境を作ってあげることが必要です。, 例えば、旅行が好きだった筋萎縮性側索硬化症の患者は、自分が過去に訪れた旅行先の写真や雑誌に載っている絶景の写真をコピーして1週間ごとに天井に貼るなどしてみましょう。, そうすることで、首が動かず上しか見ることができなくても、飽きることなく景観を楽しんでくれます。, 臥床時はテレビやラジオを使用するなど環境を整えることや、どんなに状態が悪くなっても1人の尊厳ある人間として接することが1番大切となります。, 筋萎縮性側索硬化症は「no cause, no cure, no hope」 と言われる展望のない疾患として、患者には告知をしない方向でひと昔前までは医療が展開されてきました。, しかし、現在では予後が不良であることや様々な医療処置が必要となることから、患者に告知をして相手の反応を見ながら医療を行っていくという方向性となっています。, そのため、看護をしていくうえでも1番は患者の立場に立ち、患者の思いに沿った看護をすることが求められます。, 筋萎縮性側索硬化症の患者の看護は、家族も巻き込みチームで行っていくということが非常に重要となります。チーム看護を意識して、患者の個別性や思いを大切にした看護を展開してほしいものです。, ●神奈川県在住の看護師 ●職務経験:総合病院、特別養護老人ホーム、クリニック、介護老人保健施設、デイサービス、健診センター、イベントナース、健康相談員 ●診療科経験:脳外科、神経内科、内科、皮膚科、美容皮膚科、整形外科, 食べること、スポーツ観戦が好きな看護師。社会勉強と称していろいろなところで働いた経験を綴っています。派遣看護師の経験もあり、派遣では回復期の病棟業務、ディサービス、検診センターで仕事の経験があります。, はたらきナースでは、看護師のための病院口コミサイトをOPENいたしました。まだまだ、病院やクリニックの口コミ数が足りません。是非、勤務経験のある病院の口コミ投稿をお願いいたします。, 愛知県| 静岡県| 長野県| 岐阜県 三重県| 新潟県| 富山県| 石川県 福井県| 山梨県, 広島県| 岡山県| 香川県| 徳島県 愛媛県| 高知県| 鳥取県| 島根県 山口県, 本サービスを含む看護師の口コミの内容、記事の内容は、看護師資格を保有した看護師の体験談が多く含まれております。体験談の性質上、内容によっては不確実な主観が含まれている場合がございます。ご理解の上、ご利用いただくとともに、「はたらきナース」の利用規約を確認ください。, 運営:株式会社peko 〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-13 神田第4アメレックスビル 4F.